GND設計¶
GNDとは¶
GND(Ground)は電子回路における基準電位である。
一般的には
0V
として扱われる。
例えば
3.3V
という電圧は、
GNDとの差が3.3V
という意味である。
なぜGNDが重要なのか¶
初心者は
VCCが大事
と思いがちだが、
実際の基板設計では
GND設計
の方が重要と言われることも多い。
理由は単純で、
電流は必ず戻る
からである。
例えばLED回路
3.3V
↓
LED
↓
抵抗
↓
GND
電流は
VCC → LED → GND
へ流れる。
つまり
GNDも電流経路
なのである。
電流はループで流れる¶
電流は片道では流れない。
間違ったイメージ
VCC → IC
正しいイメージ
VCC → IC → GND → 電源
必ずループを形成する。
GNDが細いとどうなるか¶
例えば
モータ
が大電流を流したとする。
3A
流れるGNDパターンが細い場合、
発熱
電圧降下
ノイズ
が発生する。
結果として
STM32リセット
通信エラー
ADC誤差
などが起きる。
GNDは太くする¶
PCB設計の基本原則
大電流
↓
太い配線
悪い例
────────
良い例
════════
特に
- モータ
- DCDC
- 電源入力
では重要である。
GNDプレーン¶
現在のPCBではGNDプレーンを利用することが多い。
イメージ
基板全面
↓
GND銅箔
例
┌───────────┐
│ GND GND GND │
│ GND GND GND │
│ GND GND GND │
└───────────┘
GND配線を個別に引く代わりに、
基板全体をGNDとして利用する。
GNDプレーンのメリット¶
電圧降下が少ない¶
広い銅箔なので抵抗値が小さい。
ノイズが減る¶
信号の戻り道が確保される。
放熱性能向上¶
銅箔全体へ熱が拡散する。
配線が楽になる¶
GNDを個別に引く必要が減る。
信号の戻り電流¶
信号線にも戻り電流が存在する。
例えばSPI
SCK
を流すと、
戻り電流は
GND
を流れる。
そのため
信号線の真下
↓
GNDプレーン
が理想となる。
GNDを分断しない¶
悪い例
GND GND
─────┼─────
│
│
─────┼─────
GND GND
信号の戻り経路が失われる。
結果
ノイズ増加
EMI増加
通信不安定
が発生する。
アナログGNDとデジタルGND¶
高精度回路では
AGND
と
DGND
を分ける場合がある。
AGND¶
アナログ回路
- ADC
- センサ
- オペアンプ
DGND¶
デジタル回路
- STM32
- SPI
- UART
ただし最近は
完全分離
より
一枚のGNDプレーン
の方が推奨されることも多い。
スター接続¶
電流の干渉を防ぐための接続方法。
悪い例
電源
↓
STM32
↓
モータ
良い例
STM32
│
電源 ───┼───
│
モータ
大電流がSTM32へ流れ込みにくくなる。
デカップリングコンデンサとの関係¶
デカップリングコンデンサは
VCC
↓
IC
↓
GND
の間に接続される。
そのため
GND品質
が悪いと、
デカップリング効果も低下する。
DCDC周辺のGND¶
DCDCは大きなスイッチング電流が流れる。
そのため
入力コンデンサ
IC
インダクタ
出力コンデンサ
周辺のGNDは特に重要である。
可能な限り
短く
太く
接続する。
モータドライバ周辺のGND¶
モータは非常に大きなノイズ源である。
例
DRV8871
↓
モータ
起動や停止時に大電流が流れる。
そのため
モータGND
と
STM32周辺GND
を適切に設計する必要がある。
ビアによるGND接続¶
多層基板では
Via
を利用してGND層へ接続する。
例
Top Layer
↓
Via
↓
GND Plane
大電流部分では複数ビアを使用する。
Asterで重要なポイント¶
Asterでは以下が特に重要である。
STM32周辺¶
GNDプレーン
+
100nF
DCDC周辺¶
太いGND
+
短い配線
DRV8871周辺¶
大電流GND
ADC入力¶
ノイズ源から離す
よくあるトラブル¶
GNDが細い¶
発熱や電圧降下が発生する。
GNDプレーンが分断されている¶
通信エラーやノイズの原因になる。
モータGNDとロジックGNDが混在¶
STM32がリセットすることがある。
コンデンサのGNDが遠い¶
デカップリング効果が低下する。
基本ルール¶
迷ったら以下を守る。
- GNDはできるだけ広く取る
- GNDプレーンを作る
- GNDを分断しない
- 大電流部分は太くする
- デカップリングコンデンサを近くに置く
- モータやDCDC周辺は特に注意する
まとめ¶
GNDは単なる0Vではなく、電流の戻り道である。
- 電流は必ずGNDへ戻る
- GND設計はPCB設計の最重要項目の一つ
- GNDプレーンが推奨される
- 大電流部分は太く設計する
- ノイズ対策や放熱にも影響する
実際の基板設計では、
VCCをどう引くか
よりも
GNDをどう設計するか
の方が重要になることも多い。